息子こつぶに発達障害(自閉症スペクトラム)の診断がつくまでの話です。
0歳2か月から始まった「この子自閉症だわ」騒動以降あちこち奔走する中、息子こつぶはついに1歳の誕生日を迎えました。
▼「この子自閉症だわ騒動」の始まり▼
義理の実家でお祝いをしてもらい、写真を撮りました。
この時撮影した、一見するとすごく楽しそうな家族写真が残っています。
当時の日記を見返すと「自分が思い描いていた子育て」と全く違ってしまった自分の毎日を嘆き、胸の中は重く苦しく心の底から笑う事が出来なくなっていました。
そして「自・閉・症」の3文字を忘れた日は1日もなく、夜みんなが寝静まってから毎日布団で丸まって泣いていました。
うおおおおお…この子は一体どんな大人に育つんだろう…
そして我々家族の運命は…!?
未来がコワイヨー誰かタスケテー
私はこの頃、自閉症に関する本を読みあさり、知識だけは頭からこぼれ落ちそうなほどパンパンに詰め込んでいました。
そして「自閉症の子はこんな特性がある」「こんな事をやったら自閉症かも!?」といったネットのまとめサイトや掲示板なども読みあさっていました。
クレーン現象…さかさバイバイ…つまさき歩きに横目…いっぱいある
これからこつぶもやり始めるのかな…
もうすでに必殺タイヤ回しは極めちゃってるんですけど〜
▼「必殺タイヤ回しの話」もどうぞ▼
そして忘れもしない、1歳をすぎたある日、私が最も恐れていた事が起こりました。
遅めの1歳の誕生日のお祝いをするために、私の実家に帰った時の事です。
その頃こつぶがとても気にいっていたアンパンマンのおもちゃ(タッチペンでタッチすると音声が出る絵本のようなもの)も持って行きました。
▼そのおもちゃの話はこちら▼
こつぶと一緒にそのアンパンマンのおもちゃで遊んでいた時の事です。
こつぶはホントこのおもちゃが好きだよね
カンカン!カンカン!
(踏切のこと)
…ぽろっ
あ、こつぶ、タッチペンが落ちたよー…
見て!
こつぶ、ママの手でタッチペン拾おうとしてる
あははー
私はその瞬間、全身の血の気が引きました。
こつぶは私の目も見ず、まるで道具を使うように私の手を使ってタッチペンを取ろうとしました。
私が今まで本やネットで「自閉症スペクトラムの子の特性のひとつ」としてよく目にしていた「クレーン現象」だと一瞬で気がつきました。
姉はこつぶが私の手を取ってタッチペンを取ろうとしている姿をかわいいと思ったようでニコニコして見ていました。
一方で私の心の中は一瞬のうちに不安でいっぱいになり、泣き出しそうになるのを止めるのに必死でした。あの日の事はたぶん一生忘れられません。
ところでクレーン現象ってなんなの?
クレーン現象っていうのは、自分の手を使わずに相手の手を引っ張って何かを取ったり要求を満たそうとする動作のことなんだよ
たとえばジュースが欲しい時「ジュースちょうだい」と言わず、親の手をひっぱって冷蔵庫をあけさせようとする
今回のこつぶのように他人の手を「道具のように」使って何かを取ろうとする
これらもクレーンだね!
クレーン現象は発達障害の子しかやらないの?
まだ言葉があまり出ていない1歳前後の子どもならやる事があるよ
自閉症スペクトラムの子は言葉で要求を伝える事が苦手な子が多くクレーン現象をする事が多いとされているんだ
こつぶはクレーン現象の他にも横目だったり特性が出ていたから、「特性がまた増えた」とショックを受けたんだけど、クレーン現象自体に問題があるわけではないんだよ
こつぶも言葉で要求を伝えられるようになりだした1歳半くらいにはクレーン現象はピタリと無くなったね
それまでは私も手をよくひっぱってあちこち連れて行かれたよ
そして逆に言うと、自閉症スペクトラムの子が必ずクレーン現象をするという訳ではないんだ
他にも「自閉症の子はこういう事をやる」みたいなリストをよくネットで見つけるけれど、こつぶも全てはあてはまならかったよ
自閉症だから◯◯する、◯◯したら自閉症っていう訳じゃないんだよ
こつぶは例えばどういうのがあてはまらなかったの?
「逆さバイバイ」っていって、バイバイする時に手のひらを自分の方に向けちゃうバイバイ、これもよく自閉症の子がやるって言われてるけど…
でもこれも自閉症じゃない子もやる事があるし、こつぶも逆さバイバイは1回もした事がないね
あ、でもこつぶのバイバイはちょっとクセが強かったね
そうそう、ハイハイやズリバイのクセも強かったけど、バイバイもちょっとユニークだったね
招き猫みたいなバイバイだったから、招き猫バイバイって呼んでたよ
4歳の今は普通のバイバイだけど、これは結局3歳くらいまでずっとやってたね
私はこつぶが0歳~2歳前後の頃は自閉症に関する情報を集めすぎて不安があまりにも大きくなり、育児がちっとも楽しめませんでした。
その後療育先で知り合ったママさんが
「うちの子小さい頃ずっとクレーン現象やってたんだけど、私知識がなくてかわいいことするなってニコニコしながらずっと見てたの、でもそれが逆によかったかもしれない」
と言っていて衝撃を受けました。
私はいろいろ情報を仕入れてすぎてしまったため、いちいち息子の行動を自閉症にあてはめてしまい恐怖におびえてしまった事が沢山もありました。
自閉症の特性だなんだと気にしすぎず、今しかない時間を大切にして、もっともっと全力でかわいがってあげればよかったです。
今もそれが心残りです。
▼ハイハイのクセが強すぎた話はこちら▼
▼本日のオススメ絵本▼
鏡を使った仕掛け絵本です
ホットケーキが今にも飛び出そうで
何回読んでも感動します
子どもも大喜びです
当時の日記に
「ホワイなぜに生きているのか」
という矢沢永吉さんの歌詞の走り書きがありました…よほど追いつめられていたのだと思います